野田文七のブログ

東方Projectの小説書いてます。劇団文七団長。
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春日傘(雅趣雅俗) 著「不可能な境界Rewrite供〕色の華」

著者の苦心の跡が随所に見受けられますが、第一巻に比べて統一感を欠いています。

シンプルな対話劇を基調とした第一巻に比べると、第二巻の方がストーリーに動きがあり、登場人物も多く、それぞれの目的や性格なども絡み合い、話の流れが複雑になってきます。

そのため、どうしても地の文に頼る場面が多くなってきます。

こうなると、第一巻では長所であった、全体の話の流れをぶった切る饒舌を多用するスタイルによってもたらされる素朴さが、悪い方向へ作用してしまいます。

 

一度地の文で説明したことを、登場人物たちがもう一度説明して、役割がかぶってしまう。

通常であれば動きのあるシーンとして描写されるべき(その方が逆に字数を要せずラクと思われる)はずの事件が、地の文や長い会話であっさり片付けられてしまう。

本来手を抜いていいような蘊蓄に力を注ぎ、力を注ぐべきキャラクターの会話シーンをなあなあにしてしまうなど、リソース配分の不均衡。

また、ヴェルサイユ、ベルサイユ、一七十三年、一七一五年、などの表記揺れは、おそらくは再読してチェックする余裕がなかったためでしょう。

細かい点を挙げれば切りがありませんが、つまり練度不足です。

 

手ブレするホームビデオカメラだけで大作ファンタジー映画を撮影するようなもので、たとえ舞台背景や設定が相当に練り込まれていたとしても、手ブレした画面からは、そもそも情報を読み取るのが困難です。

 

実のところ、著者の先日のブログ、シンゴジラについて語った記事は、非常に楽しく読みました。僕も最近見たばかりでまだ興奮した記憶が新しく、また、あの映画で感じたものがかなり似通っていたこともあり、一気に読みました。

藍色の華では、そういう一気に読む感覚がほとんどありませんでした。

考えてみれば、僕は幕末ほどにはフランス革命期を知りません。

それが、第一巻より第二巻の方が統一感に欠けた、という風に僕の目から見えた可能性も確かにあります。

ただ、自分にかかったバイアスを気にして何も言わないのもそれはそれでよくないです。

 

そういうわけで、文体に対しては個人的にかなり気にはなったものの、着実に宇宙観の開陳は進められており、全体として見れば物語は順調に進んでいます。 八意永琳の示した真相に、八雲紫がどう抗うのか、最終章を待つことと致します。

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